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有機塩素化合物

有機塩素化合物とは、炭化水素に塩素が付加された化合物の総称です。

PCBやダイオキシン、VOCに塩素系農薬と言ったように個別に規制がかかっている項目が普通だと思われるのですが、 ここでは、全てを合わせた形で分析を行います。
有機塩素化合物が規制されているのは、

1. 水底土砂にかかる判定基準

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項に規定する埋立場所等に排出しようとする金属等を含む廃棄物に係る判定基準を定める省令(S48.2.17総理府令第6号)
判定基準 40mg/kg
検定方法 S48.2.17 環境庁告示第14号 別表1

2. 産業廃棄物に係る判定基準

金属等を含む産業廃棄物にかかる判定基準を定める省令(S48.2.17総理府令第5号)
処分基準  集注型排出 無機性汚泥    溶出試験  1mg/l
        拡散型排出 有機性汚泥    含有試験  4mg/kg
        拡散型排出 廃酸、廃アルカリ 含有試験  4mg/kg
検定方法 S48.2.17 環境庁告示第13号 別表5

3. 油又は廃棄物に係る判定基準

船舶又は海洋施設において焼却することができる油又は廃棄物に係る判定基準を定める総理府令(S55年総理府令第51号)
判定基準 40mg/kg
検定方法 S55.10.29 環境庁告示第63号 →環境庁告示第13号 別表5

4. 廃棄物に係る判定基準

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」の別表3の3 24 有機塩素化合物 
有機塩素化合物(PCB、ポリ塩化ビニル(共重合物を含む。)、ポリ塩化ビニリデン(共重合物を含む。)、ポリクロロブタジエン、ポリエチレン塩素化合物その他環境省令で定めるもの(ポリクロロブタジエン、ポリプロピレン塩素化物、ポリブタジエン塩素化物)を除く。)
判定基準 40mg/kg

  ☆ちょっと一言☆

この有機塩素化合物、同じようなことを違う法律でなんだか難しく書かれているのでややこしくて仕方ないのですが・・・。
特に4番。有機塩素化合物はPCBを除くとあるので有機塩素化合物からPCBの値を引いて下さい。というもの。
有機塩素化合物とPCBは全く異なった分析方法で測定している対象の化合物自体違います。
なので、引き算なんて絶対にできません。それこそ、リンゴ10個ある中からみかん3個引いて下さい。って言っているようなものです。
PCBの後に書かれている物質は、全て高分子の塩素系化合物なので確かに規定されている方法では、含まれません。
解釈の1つとしては、PCBが個別で検出されている場合は有機塩素化合物は測定に値しないということです。ほどんどが基準値オーバーになりますから
PCBが検出されなかった場合に、有機塩素化合物を測定する意味があると考えるのはいかがでしょうか。

測定方法は14号別表1も13号別表5も書いてあることは同じです。有機塩素化合物の測定方法は次のようなものです。
試料をヘキサン抽出し、ソジウムビフェニルで還元脱塩素化して、塩化物イオンを生成させ、水転溶してチオシアン酸第二水銀吸光光度法により有機塩素化合物の塩素量を求めるものであります。
まずは、ヘキサンに抽出される脂溶性有機化合物というこのなので、低分子量のトリハロメタンやトリクロロエチレン、塩素系農薬、PCB、塩素化パラフィンなどもヘキサンに容易に抽出されます。
が、高分子の塩素系有機塩素化合物(たとえばポリ塩化ビニルなどはヘキサンに不溶なのでここでは抽出されません。
ここで、重要なのはヘキサンで抽出されるもの全てということです。無機系塩素でもたとえば四塩化炭素や塩化硫黄などはヘキサンに可溶な物質です。四塩化炭素を無機系に入れるか有機系に入れるかは判断の分かれるところではありますが・・・。 そして、ヘキサンに抽出された有機塩素化合物をソジウムビフェニルという試薬を使って還元脱塩素化を行い塩化物イオンを生成させます。
余談ですが、このソジウムビフェニル・・・結構くさい試薬です。この分析をした日は1日中臭ってます。(笑)
写真の分液ロートがソジウムビフェニルを加えて反応させたところです。真っ黒ですよね。不気味なくらい。方法には青緑色と書いてありますが、確かに光に当てると緑に反射してます。

ひだりひだり

有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン法としては、燃焼分解法や高圧分解法、などさまざまものがあります。
この分析方法では、ソジウムビフェニルを使った還元脱塩素化法が使われてます。
こちらの試薬を、規定通りに作成しようと思うとかなりの手間なのですが、試薬メーカーで1回ずつの使い切り試薬として販売されてますので、これを使うと便利です。
この試薬とても不安定なもので、少しの水分や湿気でも酸化されて灰色になってしまいます。
ヘキサン抽出液に水分が残っている場合もNG。きちんと脱水操作が行われていなければ、前述のような黒い反応を持続させることができません。

反応が終わった後に、過剰のソジウムビフェニルを水と硝酸で分解させます。黒い試薬が一気に泡を放出しながら透明になっていきます。これを知らないで水を加えて栓をして分液ロートを振ってしまうと、栓が’パン’とはずれてそこら中に液をばらまきかねないので要注意です。
定容50mlをチオシアン第二水銀法により塩化物イオンの定量を行います。
このときに検出されないものに関しては、試料20mlで対照液を使っても40mlですから問題はないのですが、検出されそうなときに検量線の範囲が以外に狭いので最大量を取ると残りが10mlとなって 試料量5mlで1回しか測定できなくなります。まあ初めからやり直す気があるならなら問題ないのでしょうが・・・。検出されそうなときは最初に試料量を5mlにしておいて、出なければ増やす、出ていれば検量線範囲に入りそうなサンプル量を決めて測定するのが効率の良いやり方になります。
硫酸アンモニウム鉄試薬自体にも若干色があるので対象サンプルは絶対に必要です。
Cl-がHg(SCN)2と置換して遊離されるSCN-がFe3+と反応して生成するFeSCN2+の橙色を測定します。
とても綺麗なオレンジ色です。写真は標準液を発色させたものです。
ただし、この反応は塩化物イオンに特異的なものではなくてハロゲンイオンが存在すれば同じような反応が起こりオレンジ色の発色を呈します。なので、有機臭素化合物や有機よう素化合物を含んだサンプルであればプラスの誤差になる可能性はあります。
文献等には発色強度としては弱くなるので大きく加算されることはないとあります。

ちょっと付け加えると、塩化ナトリウムはヘキサンに不溶なので、これが測定値に影響を与えることはありません。以前、海底土の有機塩素化合物の測定依頼があったときに高い値を検出したことがあって、確認のために海水が3%食塩水としてちょっと多くして10%食塩水と飽和食塩水をサンプルとして分析してみましたが、有機塩素化合物は検出されませんでした。
この出そうにない性状の試料で有機塩素化合物が高く出る試料なんですが、ときどきあって結構性状が似ているんです。
1つは粘性が高いこと。もう1つはヘキサンと混和しないこと。が、そこに水を混ぜると混和すること。ヘキサン抽出するときに明らかに混ざってないんです。ヘキサンの透明の液体中に黒い物体がはっきり分離してます。この状態での測定だと検出されませんよね。ところがこれに少量の純水を添加するとちゃんと混ざるんです。で、結果高い値がでる・・・と。
今まで話してきたとおり、有機塩素化合物の測定ではありますが、有機塩素化合物以外のものを分析していないのかといわれると ???な試験方法です。
1つは、ヘキサン抽出された無機系塩素イオンも結果として測定されますし、チオシアン第二水銀法も塩素以外に反応するものがたくさん考えられます。「逆抽出後のクリーンアップ」も有用だとは思いますが、公定法に示されていませんし、どんな化合物がどう影響されているかはっきりしていません。
当社は研究所ではなく分析所なのであくまで、公定法に則った分析方法で検出された場合はその通りに報告するしかなくて・・・。原因をご存じの方は是非教えて下さい。

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